キャリコネニュースにて大学1, 2年生が働きたい企業ランキングで、
1位 地方公務員
2位 国家公務員
という結果になったことが発表されました[1], [2]。
[2]の記事は[1]の記事の発表後に匿名型のインターネット掲示板である「2ちゃんねる」にて反響があったことを受けて執筆されたものです。
同記事によると、2ちゃんねるではこの結果に「もう駄目だなこの国」と嘆くような意見が多数記載されていたとのことです。
その意見を同調するような形で同記事では、
就職活動を始める前の大学生には、もっと大きな夢や野心を抱いてほしいもの。それなのに希望する職業の1位が地方公務員では、嘆きたくなるのも無理はない[2]。
というような記載がありました。また、
「ギリシャと同じで衰退するしかない」「日本のギリシャ化まったなし」とギリシャを引き合いに出して、日本の行く末を憂う声もあった。ギリシャでは、公務員の増加が財政破綻の一因になったと言われている[2]。
今回はこの記事に関する感想を書いていきたいと思います。
まず、「公務員を志望すること = 野心がない」
というのは違和感があります。
仕事を続けられる活力源となるものは達成感であるといっても過言ではないです。
公務員は仕事をしていても一日の売り上げなどといった利益を上げることは基本的にはしません。
例外として地方公務員の場合は、
利益を上げることとサービスの安定化といった二つのバランスを考えながら働く上下水道、交通などの公営企業局関係は売上を考えることもあります。
また国家公務員の場合で例を挙げると、
新幹線を外国に売る場合は経済産業省と国土交通省が中心になって動くことになるかと思います。その場合は民間企業と連携して国益のために仕事をしていると考えることが
できます。
上記のように公務員は基本的には利益の追求は行わないことが多いですが、
一部では地方や国の利益を考えながら仕事をする方々もいらっしゃいます。
しかし、それでも多くの公務員は利益による達成感を得られることはないかと思います。これは民間企業の方よりも利益にかかわる人の割合が少ないといえるでしょう。
しかし、公務員は代わりに
自分のしている仕事が直接仕事に反映されたときの達成感を味わえることができます。
公務員のようなお役所仕事の場合は、
課長、課長補佐、係長、係員というように上から下に仕事が降ってきて、
下の人が仕事の結果をまとめて決済を起案し、上にあげていくことが基本です。
そのため、些細な発想を企画したものがそのまま採用されるというようなこともあります。これが法律や条例になったらやはり達成感は得られるでしょう。
必ずしも利益だけが仕事のやりがいではないと思うので、
野心がないというようにニュース記事にてネガティブキャンペーンをするのはいかがなものかと思いました。
次にギリシャ関連です。
確かにギリシャの財政破綻の一端として公務員の増加はあります。
しかし、ギリシャの公務員の割合は4人に1人です[3]。
日本は10 %程度であるため、比較すべきではないでしょう。たしかに日本の公務員は世界の国々の公務員に比べて給与は高い水準にありますが、公務員の割合が低いためです。そのため人件費としては標準です。
また、日本において日本の平均年収と公務員の平均年収比較がなされることがありますが、
これも適切な比較とはいえません。
というのも、日本人の平均年収は非正規雇用が含まれていますが、公務員の平均年収の算出においては非正規雇用の公務員の給与が含まれていないからです。
いずれにしても公務員についてはさまざまな誤解を抱えている人が大勢いることは間違いありませんが、
公表されているデータもわかりずらいため、比較しづらいのも納得です。
[1] LINE Corporation, “「「大学1~2年生の就職希望1位は地方公務員」に「夢も希望も無い国」という声 「大手で死ぬまで働くとか馬鹿みたい」,”[Online]. Available:
http://blogos.com/article/237852/
[2] LINE Corporation, “大学1~2年生が働きたい企業ランキングがカオス 上位は公務員が占める、理由は「カッコイイから」,”[Online]. Available:
http://blogos.com/article/236891/
[3] 日本経済新聞, “キャリア官僚不人気 17年度の総合職申込者、47年ぶり低水準 ,”[Online]. Available:
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ10H3C_Q7A510C1000000/
[4] Newsweek, “日本の公務員は先進国で最も少なく、収入レベルは突出して高い ,”[Online]. Available:
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-5959.php
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