皆さんもご存じの通り、
国家公務員には大きく分けて、「国家公務員」と「地方公務員」の二種類があります。
国家公務員の方が仕事の規模も大きいことから、国家公務員の方が賃金が高いと思っている人も多いかもしれません。
しかし、このような発表が総務省よりありました。
それは、「平成28年地方公務員給与実態調査結果等の概要」です。
この発表では、国家公務員と地方公務員の賃金の比較を行っています。
国家公務員と地方公務員の賃金の比較を行う際には、ラスパイレス指数と呼ばれる指数が用いられます。
国家公務員の賃金を100と考えた場合の地方公務員の指数が表されます。
それでは、実際にどのような結果となっているのか以下の表をご覧ください。
図1では都道府県のラスパイレス指数を示しています。
地方公務員の給料はそれぞれの自治体の条例えで定められています。また、地域手当というものがあるため賃金差が生まれます。
地域手当とは、
公務員給与に民間賃金水準を的確に反映させるために物価等を考慮して手当として支払われるものです。
東京都のような都会ですと物価も高くなるため、一級地として扱われ、基本給の20 %が支給されます。
また、地域手当以外にも忙しい自治体では超過勤務代も発生するため、
賃金に影響が出ます。
図1を見てみると、国家公務員の基準である100を超えたスパイラル指数の都道府県は26あることがわかります。
この結果からみると地方公務員の方が国家公務員より給料が高いことが多いといえるかもしれません。
図2の政令指定都市の場合も国家公務員の100という基準を超えている地域は多いことがわかります。
ラスパイレス係数比較において、
国家公務員より地方公務員の方が高い理由は賃金の削減にあるかもしれません。
賃金を下げるのは国家公務員の後に地方公務員という順番になっているようなので……。
賃金面や仕事の忙しさを理由に、
国家一般職を辞退して地方上級に行く人が多いのかもしれません。最終合格者の8割が地方公務員を選択して辞退するそうです。
総合職なら話は変わるかと思いますが。
余談ですが、
ラスパイレス指数は加重平均によって算出された指数です。
このラスパイレス指数を利用した賃金比較が正しいのかという議論はなされることが多いです。
なぜかというと、
国家公務員の算出データでは事務次官や局長等の幹部を除外した数値であることに対し、
地方公務員の場合は局長、部長等の幹部を含むデータとなっているためです。
このようなニュースが地方公務員は賃金が高く、国家公務員は賃金が安いというイメージを植え付けていることに間違いはありません。
実際にどちらが高いのかはデータが不足しているため比較検討ができませんが、
私個人的にはどちらもさほど違いはないのではないかと考えています。
参考文献
[1] 総務省, “平成28年地方公務員給与実態調査結果等の概要,” [Online].Available: http://www.soumu.go.jp/main_content/000391686.pdf
[2] All About, “公務員の給料、都道府県・市町村別ランキング【最新】,” [Online].Available: http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170618/Allabout_469712.html
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